国語国文学専攻(修士課程)
国語国文学専攻とは
日本語と日本文化に対する論理性と美意識を磨きます
日本語学(国語学)と日本文学と2つの専門領域の研究を行っています。日本語学は、現代語を含む各時代の言語体系とその変化を研究の対象としています。日常では意識しない日本語の法則性を見いだし、それを、過去から現在、さらに未来へと流れていく日本語の論理としてとらえることをめざしています。また、その知識を日本語教育にも結びつけていきます。日本文学は、古典文学から近現代文学までを研究の対象にしています。文学作品が成立した時代の社会・歴史などから成立の必然性を探り、それがどのように継承されてきたのか考えます。作品は文献という形で与えられているので、その文献の持つ価値を見定める専門的な訓練も行っています。2つの領域は、互いに関連するので、自分の専攻する領域だけに閉じこもることなく、もう一方の分野にも触れることを求めています。そのことによって日本語・日本文学を中心とした日本文化への理解を、より厚みのあるものにします。
日本語学と日本文学
日本語の法則を歴史的・国際的視点からみつめ、日本文学の価値の再発見に努める
日本語と日本文学についての長い歴史を持つ研究の伝統を踏まえ、日本語と日本文学についてのより深い研究を行うこと。そのための研究方法を身につけていくことが、国語日本文学専攻における目的です。
日本語学
日本語はそれが社会的に存在する以上、一定の約束事、すなわち法則に従って用いられています。日本語学の目標は、日常では意識されない日本語の法則性を明らかにし、その本質を探っていくことにあります。
ただし日本語の法則は自然界に存在する法則と違い、人間が作り出したものです。従って永い時間を経るうちに、その法則も次第に変化していきます。こうした永い歴史的な日本語の変遷をたどりながら、なぜ、どのようにして現在の日本語が生まれてきたのか、そして日本語の未来の姿がどのようになっていくかを考えていくことも、日本語学の重要な目的の一つなのです。
日本語のこうした歴史的変遷をたどる一方で、諸外国語の中に日本語という言語を位置づけることも今日の国際化社会においては必要になります。本学では早くから学部において日本語教育の研究と教育にも力を入れてきましたが、大学院でも日本語教育に関する講義・演習を開講し、日本語を外国語としてとらえなおす視点からの日本語研究を行っています。
日本文学
我が国にはさまざまな文学的遺産があります。神話や伝説に始まって和歌や物語、能・歌舞伎、俳諧などの古典文学から、漱石・芥川・太宰といった近代の作家の手になる小説群に至るまで、その文学的伝統は、約1500年の永きにわたっています。こうした文化遺産である日本文学を研究対象に、その価値を常に再発見し、継承・発展させていくこと。それが、日本文学に与えられた課題です。とはいえ、こうした古典文学と向き合う際には、現代の私たちの基準でその価値を推し量るばかりでは、その歴史的意義をつかみ損ねてしまいます。従って第一に、その作品が成立した時代や社会、風土を知り、作品成立の必然性を理解する文学史的知識が求められることになります。
第二に、こうして成立した作品の評価の歴史をたどることも、日本文学の重要な目標となります。一つの作品の評価は時代によって、忘却の期間や再評価の期間、そして次代の作家による模倣や咀嚼の期間といった、さまざまな浮沈を経て現在に至っています。こうした歴史を繙き、作品がどのように継承されていったかを学ぶ受容史の研究も、日本文学の重要な課題なのです。
もちろんこうした研究は、写本や版本などの一次文献を精査・精読することによって、はじめて可能となるものです。従って日本文学に携わる者は、文献自体の評価や取り扱い方といった、
文献学的知識を追究しなければなりません。日本文学は、文学史、受容史、そして文献学という確かな基礎を踏まえた上で、我が国の文学作品の持つ、価値の再発見に努めなければならないのです。
育成すべき人材
論理性と美的感覚を磨き、研究者、教育者をめざす
ことばには論理的であると同時に美しくあることが求められ、文学はその究極の姿であると言えます。本専攻では日本語と日本文学を深く学ぶことによって、論理性と美的感覚を養うことを目的としています。修了後は身につけた能力を活かし、研究者、教育者、さらには一般企業で活躍することも期待されています。
研究者
大学院博士課程や研究所、そのほか各種の研究関連機関において、日本語学、日本文学、および関連諸学の研究者として活躍できるよう、その能力を養います。
教育関係
高等学校以下の学校教員として十分な基礎能力を養い、専修免許を取得できます。教員未経験者には教育法その他の教職科目の単位修得にも便宜を図るほか、現職教員のブラッシュアップと再教育と専修免許への移行を助けます。
教育課程の特色と構成
日本語学、日本文学ともに古代から近代まで、多彩な問題群にふれ、専攻以外の分野も幅広く学ぶ
日本語学系統
古代から近代・現代までの日本語を対象とし、音韻、文法、語彙等各方面からの学習・研究をめざします。諸外国語との対照研究も重視します。
日本文学系統
古代(上代・中古・中世前期)から近代(中世後期・近代・現代)までの各領域において、散文と韻文、および戯曲を対象に研究指導します。学生には専攻の時代や分野だけにとどまらず、日本文学史を含め、歴史・民俗・芸術等の関連分野も学ぶよう指導します。
共通課題
いずれの系列も、他の系列の科目の履修を推奨します。
履修方法
専攻分野を深く学び、隣接分野にも幅広い知識を養う
入学時あるいは1年次終了時に指導教員を決定。以後教員と学生の協議のもとに、専攻分野など研究の方向付けを行っていきます。本専攻を修了して修士の学位を受けるためには32単位以上を修得し、最終試験に合格しなければなりません。32単位の修得に際しての条件は下記の通りです。
◎必修4単位と専攻する系統から16単位以上を含み、統計32単位以上を修得する必要があります。
◎学部で日本語学・日本文学以外の分野を専攻してきた者、および日本語学・日本文学を専攻した者でも学部卒業後3年以上経過した学生に対しては、日本語学・日本文学の科目で基礎知識を支える授業を状況に応じて用意し、これを受講するよう指導します。
授業科目一覧
本専攻ではこうした狙いの上に立って、構造的に組織された各種の講義・演習を用意しています。詳しくは下記の一覧を参照してください。
系統 | セメスターI・III | セメスターII・IV | 備考 |
---|---|---|---|
日本文学 | 日本文学特殊講義I A 日本文学特殊講義II A 日本文学演習I A 日本文学演習II A 日本文学史特殊講義A |
日本文学特殊講義I B 日本文学特殊講義II B 日本文学演習I B 日本文学演習II B 日本文学史特殊講義B |
古代 近代 古代 近代 |
日本語学・ 日本語教育 |
日本語学特殊講義I A 日本語学特殊講義II A 日本語学演習I A 日本語学演習II A 日本学特殊講義A 日本語教育特殊講義 A 日本語教育演習 A |
日本語学特殊講義I B 日本語学特殊講義II B 日本語学演習I B 日本語学演習II B 日本学特殊講義B 日本語教育特殊講義 B 日本語教育演習 B |
古典語 現代語 古典語 現代語 |
必修 | [セメスターⅢ・Ⅳ]国語国文学特別研究(論文指導) |
修士論文題目
入試実績
受験者数 | 合格者数 | 入学者 | |
---|---|---|---|
2022年度 | 4(0) | 3(0) | 3(0) |
2021年度 | 1(0) | 1(0) | 1(0) |
2020年度 | 2(0) | 2(0) | 2(0) |
2019年度 | 0(0) | 0(0) | 0(0) |
2018年度 | 2(0) | 2(0) | 2(0) |
注1:一般選抜、社会人特別選抜の合計数
注2:( )内は男子の数で内数
入学者 出身大学(過去5年間実績)
・神戸松蔭女子学院大学
教職課程
中学校・高等学校教諭一種免許状(国語・書道)を有する学生については、所定の課程を修了することで、専修免許状に引き上げることができます。
教職課程の詳細
修了生は、中学・高校で教員として採用され、活躍している人もあり、他大学の博士課程に進んで研究を続ける人もあり、大学で教鞭をとる人もいます。国内外で日本語教育に携わる人もいます。留学生も同様に博士課程に進む人、企業に就職し、日本と母国をつなぐ仕事に励む人が育っています。