直訳すると会話がチグハグに!
相手は何を伝えたいの?

を考えよう

私たちはふだん、あまり意識せずにことばを使っていますが、文字通りに解釈するとおかしな場合も出てきます。英語でも日本語でも、“ 言外の意味”を活用しているのです。ことばに出してはいないけれど、話し手が伝えたいことです。文字通りの意味しか理解できていないと、冗談だと思われたり、相手を怒らせてしまうこともあるでしょう。

郡司隆男 教授
■研究分野:理論言語学 計算言語学 など
■主な担当科目:意味と運用

Step1 気づく

英語の場合、回数を教えてほしいときに“How many times ~ ?” という表現を使うって習ったけど、回数を答えるだけでいいの?


たとえば、こんなシーンを思い浮かべてください。母親が子どもに“How many times did I tell you to clean your room?” と話しかけたとき、子どもが“Five times.” と答えて、そのまま部屋を片付けない。文字通りに解釈すると、母のセリフは「部屋を綺麗にしなさいと何回言った?」ですが、本当に伝えたいことは「部屋を綺麗にしなさい」。大人なら自然にわかることでも、子どもや外国語を学んでいる学生の場合、間違うことがあります。


Step2 考える・調べる

ことばの意味を間違って受け取ってしまう。その原因には、何があるんだろう?


上の例の場合、形は疑問文ですが、相手が質問ではなく指示していると気づかなくてはなりません。テーブルで“Can you pass me the salt?” 「お塩をとってくださいますか?」というのも質問ではなく依頼です。逆に“You are fired.” 「お前はクビだ」というのは形は普通の文ですが、「お前を解雇する」という意味の命令ですね。


留学中、「伝わらないなあ」と思ったことがしばしば。“言外の意味”を理解できていなかったのかも!?

先輩VOICE

松蔭の授業では!

ネイティブスピーカーによる授業を通じて、教科書のままとは異なる多様な英語表現が身につきます。さらに希望者が全員行けるセメスター留学によって、生きた英語を体感できます。

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Step3 発展させる

日本語と英語でことばの解釈が変わるように、英語の中でも方言によって“言外の意味”が違うのかも!?


ことばの意味は、実際に使われる場面や地域によっても、ダイナミックに変わっていきます。また、新語や流行語もそのようにして生まれていきます。辞書に載っている意味がすべてではないことに気をつけましょう。That’s not bad.(本当はとんでもないと思っている)や「考えときまっさ」(全然考える気がない)のような言い方を正しく理解するには慣れが必要かもしれません。


Step4 応用する

ことばの解釈には、いろいろな要因が考えられます。日本語と英語でも、ことばの行き違いが起こる例がないか探してみましょう。

社会の中でのことば遣いには、さまざまな“言外の意味”が含まれています。普段はなにげなく使っていることばでも、あらためて文脈に即して考えてみると面白いですよ。

先輩アドバイス

兵庫県立三木東高等学校出身
在学生(3年)

日本語を訳す感覚で話すと伝わらない。
留学で、英語ならではの表現があると学びました。

カナダに6ヵ月間留学して、日本語と英語の違いを実感しました。日本人の癖で遠回しな表現になってしまうからか、こちらの意図が伝わらないことが何度もあったのです。ホストファミリーに、「遊びに行くので、今日の晩ご飯はいりません」というだけでも大変。帰ってきたら私の分も用意してあって、気まずい思いをしたことも。逆に、英語の場合はストレートな表現が多いので、はじめは傷ついたりショックを受けたりしました。でも、文化の違いなんだと言い聞かせて、意識的に変えていくようにしました。

また、Sorryを使ってしまうのも日本人の癖ですね。Thank youといったあとにも、ついSorryと続けてしまい、よく「謝らないで」といわれていました。

先生のまとめ

その国で用いられている“言外の意味” をきちんと理解することでことばの行き違いは防げます。

日本では感謝の気持ちを伝えるために「すみません」と言うことがありますね。でも、その感覚のまま英語にすると、ことばの行き違いが起こります。特にアメリカで“I’m sorry. ”を連発するのは、責任を認めたと受け取られるため、注意が必要です。日本でよく使う「よろしくお願いします」も、直訳すると“Please do it well.”ですが、意味の通らない文章となり、英語では使われません。
また同じ英語でも、国によって “言外の意味”が異なります。よくジョークとして取り上げられる、イギリス人のことば遣いについてご紹介しましょう。たとえば、イギリス人が“Very interesting. ”(とても興味深い)と話したとします。一般の人なら“They are impressed. ”(感動的だ)と解釈しますが、イギリス人の本心としては“That is clearly nonsense. ”(まったくナンセンスだ)と、真逆のことを言外の意味に含ませているというのです。

この例はあくまでジョークですが、日本語でも英語でも、人は言外の意味を活用してコミュニケーションを取っていることを念頭におくことで、語学力はどんどん磨かれていきます。松蔭の英語学科では、そういったニュアンスの会話も学んでいきます。

  • 01. 人間科学部
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