歴史・沿革
歴史と特色
松蔭女子学院は、創立125年以上の歴史と伝統を誇る女子教育機関です。1876年、英国聖公会S.P.G.(Society for the Propagation of the Gospel)は、H.J.フォスを神戸に派遣し、伝道を開始しました。しかし、フォスは明治時代の男尊女卑社会にあって、女性も人間としての尊厳を享受できる教育が必要であると痛感し、遅れて日本にやってきた女性宣教師H.M.バーケンヘッドと協力して、1892年、異人館の町、神戸市北野町に「松蔭女学校」を設立しました。
「松蔭」という名前の由来について、フォスはイギリスへの手紙の中で次のように説明しています。「これは、松の蔭の学校という意味です。松は非常に日本的な樹木であり、慎み深さと貞節を意味します。その松の木蔭に乙女たちが住み、学んでいるという姿が、この名前を通して私達が日本の人たちに伝えたい学校の理念なのです。」 北野町の校地には大きな三本の松の木がありました。松蔭の三蓋松の校章はそれに由来しています。今でも三本松という地名が新神戸駅より西200メートルのところに残っており、そこに松蔭創立記念碑があります。宣教師たちは、松で象徴される日本の文化を尊重しつつ、キリスト教の精神を、教育という方法で、日本の若い女性に伝えようとしました。主要な授業科目は英語と裁縫でした。 英語はキリスト教の精神及び外国の新しい文化を取り入れるツールとして必要な科目です。裁縫は当時の着物文化に対応して和裁でした。英語教育という新しい道と和裁という実践教育を施し、社会の第一線で活躍する有名人よりも、教養ある家庭婦人の育成を目的としていました。
松蔭女学校はその伝統を受け継ぎ、1915年には松蔭高等女学校となり、戦後の学制改革で松蔭中学校、高等学校と名前を変えて今日に至っています。高等教育機関としての歴史は、1947年の松蔭女子専門学校から始まります。その後短期大学、4年制大学、大学院へと発展してきました。専門学校と短期大学は青谷で33年間、大学は神戸の西、垂水で14年間、それぞれ別々に高等教育機関として発展してきたのですが、 1981年、ここ六甲の地に統合することができました。その後1995年から、校名を神戸松蔭女子学院大学、同短期大学に改め、2000年には大学院を開設しました。
神戸松蔭女子学院大学は、海と山の自然に恵まれた国際都市神戸で、125年以上にわたり、キリスト教の愛の精神に基づく教養教育をおこなってきました。このような伝統によって育まれた知性を活用して、あふれる情報を的確に判断して、自分の未来を自分の手で獲得する力が必要とされています。本学のキャリア教育は、豊かな教養に裏打ちされた国際性を備えるとともに、創造性を発揮して、今の時代を個性豊かに生きることができる女性を育てます。これまで、多くの先輩たちが、国際社会で通用する専門性を身につけ、自分自身の新しい可能性と出会い、さまざまな形で社会に貢献する社会人となって、ここ神戸松蔭から巣立っていきました。
英国聖公会(英国国教会)というキリスト教の教派はカトリックとプロテスタントの中間に位置づけられ、プロテスタント諸教会の中では、幾分より儀式的なところがあります。本学の行事は聖公会の儀式、礼拝をもって行われています。本学と姉妹校となる日本聖公会系の教育機関としては、立教大学、聖路加国際大学、名古屋柳城女子大学、名古屋柳城短大、平安女学院大学、桃山学院大学、桃山学院教育大学、プール学院短大、神戸国際大学等があります。
沿革
1892年 (明治25年) |
1月 | 英国聖公会S.P.G.代表者H.J.フォス師らによって、神戸市北野町に「松蔭女学校」創立 |
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1929年 (昭和4年) |
神戸市青谷に校地を選定 | |
5月 | 英国第3皇子グロスター公殿下定礎式に臨場 | |
12月 | 新校舎落成 | |
1930年 (昭和5年) |
4月 | 高等女学校に専攻科設置 |
1947年 (昭和22年) |
4月 | 松蔭女子専門学校設立(市内中央区校長浅野勇氏) |
1950年 (昭和25年) |
3月 | 同校廃止、松蔭短期大学設置 初代学長アーサー・リー師就任
英文科、キリスト教科の2学科を置く |
1951年 (昭和26年) |
4月 | 短期大学第2代学長レオノラ・リー女史就任 |
4月 | 短期大学に教職課程を設置 | |
10月 | 三笠宮崇仁殿下新校舎定礎式に臨場 | |
1953年 (昭和28年) |
4月 | 服飾科増設 |
1956年 (昭和31年) |
10月 | 学院(短期大学・高等学校・中学校)長浅野勇氏逝去、新学院長八代斌助博士就任 |
1959年 (昭和34年) |
4月 | 英国カンタベリー大主教フィッシャー博士新校舎落成式に臨場 |
1960年 (昭和35年) |
4月 | 家政科増設 |
1962年 (昭和37年) |
4月 | 日本文学科増設 短期大学第3代学長有賀鉄太郎博士就任 |
1964年 (昭和39年) |
4月 | 短期大学第4代学長太田一雄博士就任 |
1966年 (昭和41年) |
4月 | 松蔭女子学院大学(文学部:キリスト教学科、英米文学科、国文学科)設立(市内垂水区)初代学長八代斌助学院長就任 大学におけるキリスト教学科、国文学科の設置にともない、短期大学キリスト教科、日本文学科はこれに移行、廃科となる |
1967年 (昭和42年) |
4月 | 大学に教職課程を設置 |
1968年 (昭和43年) |
4月 | 大学第2代学長下程勇吉博士就任 |
1969年 (昭和44年) |
4月 | 短期大学学科呼称変更英文学科、服飾学科、家政学科と改称 公開講座の一環として短期大学に研究科を開設 |
1970年 (昭和45年) |
4月 | 大学第3代学長太田一雄博士就任(短期大学学長兼任) |
10月 | 理事長・学院長八代斌助博士逝去 | |
1971年 (昭和46年) |
6月 | 第6代理事長太田一雄学長就任 |
1972年 (昭和47年) |
4月 | 大学に図書館司書課程設置 |
1973年 (昭和48年) |
4月 | 短期大学収容定員変更 |
1974年 (昭和49年) |
4月 | 松蔭短期大学を「松蔭女子学院短期大学」と改称、英文学科の一部を垂水学舎に移行 |
1976年 (昭和51年) |
4月 | 大学第4代・短期大学第5代学長友枝重俊教授就任大学収容定員変更 |
1980年 (昭和55年) |
3月 | 大学キリスト教学科廃科 |
4月 | 六甲新学舎第1期工事竣工にともない、短期大学(青谷学舎・垂水学舎から)新学舎へ移転 大学第5代・短期大学第6代学長友枝重俊教授就任(再任) | |
1981年 (昭和56年) |
4月 | 六甲新学舎第2期工事竣工にともない、大学(垂水学舎から)六甲に移転、キリスト教文化研究所設置 |
9月 | 新学舎第3期工事竣工大学・短期大学統合学舎完成 | |
1982年 (昭和57年) |
6月 | 第6代理事長太田一雄博士退任 第7代理事長に安井彰生理事就任 |
1983年 (昭和58年) |
4月 | 大学・短期大学収容定員変更 |
5月 | 第7代理事長安井彰生氏逝去 第8代理事長に友枝重俊学長就任(2004年3月・第13代まで) |
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1984年 (昭和59年) |
4月 | 大学第6代・短期大学第7代学長黒澤一晃教授就任 |
1986年 (昭和61年) |
4月 | 短期大学英文学科専攻課程設置(英文学専攻、英語学専攻)、家政学科専攻課程設置(生活科学専攻、食物栄養専攻) 大学国文学科臨時定員増 短期大学英文学科英語学専攻臨時定員増 短期大学家政学科食物栄養専攻が栄養士養成施設として指定される |
1987年 (昭和62年) |
4月 | 大学英米文学科臨時定員増 |
1988年 (昭和63年) |
4月 | 大学第7代・短期大学第8代学長黒澤一晃教授就任(再任) |
1989年 (平成元年) |
4月 | 松蔭大学会館完成 |
1991年 (平成3年) |
4月 | 短期大学服飾学科、家政学科をそれぞれ生活造形学科、生活科学科と名称変更 大学英米文学科、国文学科臨時定員増 |
1992年 (平成4年) |
4月 | 大学第8代・短期大学第9代学長友枝重俊教授就任 大学英米文学科を英語英米文学科と名称変更 |
9月 | 学院創立100周年記念式典 | |
1995年 (平成7年) |
4月 | 松蔭女子学院大学、松蔭女子学院短期大学をそれぞれ神戸松蔭女子学院大学、神戸松蔭女子学院短期大学と校名を変更 |
1996年 (平成8年) |
4月 | 大学第9代・短期大学第10代学長友枝重俊教授就任(再任) 第3代院長黒澤一晃教授就任 |
1997年 (平成9年) |
5月 | 言語科学研究所設置 |
1999年 (平成11年) |
2月 | 北野町1丁目に「松蔭女子学院発祥の地」モニュメント建立 |
2000年 (平成12年) |
4月 | 大学院文学研究科(修士課程)を設置、英語学専攻と国語国文学専攻の2専攻を置く 大学に総合文芸学科を設置 短期大学英文学科を英語コミュニケーション学科と名称変更、同学科の専攻課程を廃止 大学第10代・短期大学第11代学長荒井章三教授就任 第4代院長黒澤一晃教授就任(再任) |
2001年 (平成13年) |
4月 | 大学に心理学科を設置 |
2002年 (平成14年) |
4月 | 大学院文学研究科に言語科学専攻(博士課程)を設置 |
9月 | 学院創立110周年記念式典 | |
2004年 (平成16年) |
4月 | 大学に人間科学部心理学科を新設、文学部心理学科の学生募集停止 大学院文学研究科に心理学専攻(修士課程)を設置 短期大学英語コミュニケーション学科収容定員変更 大学第11代・短期大学第12代学長後藤博一教授就任 第14代理事長川崎紘平就任 第5代院長荒井章三教授就任 |
2005年 (平成17年) |
4月 | 大学人間科学部に生活学科(都市生活専攻、食物栄養専攻)を設置 短期大学生活科学科(生活科学専攻、食物栄養専攻)の学生募集停止 神戸松蔭女子学院短期大学を神戸松蔭女子学院大学短期大学部と校名変更 大学人間科学部生活学科食物栄養専攻が管理栄養士養成施設として指定される |
2006年 (平成18年) |
4月 | 短期大学部英語コミュニケーション学科収容定員変更 |
10月 | 第6代院長中村豊主教就任 | |
2007年 (平成19年) |
大学60周年記念事業実施 | |
9月 | 短期大学部生活科学科(生活科学専攻、食物栄養専攻)を廃止 | |
2008年 (平成20年) |
4月 | 大学人間科学部に子ども発達学科、ファッション・ハウジングデザイン学科を設置 大学文学部英語英米文学科、国文学科の収容定員を変更 短期大学部英語コミュニケーション学科、生活造形学科の募集を停止 大学第12代・短期大学部第13代学長郡司隆男教授就任 第15代理事長川崎紘平就任(再任) 第7代院長中村豊主教就任(再任) |
2009年 (平成21年) |
4月 | 大学人間科学部子ども発達学科が指定保育士養成施設として指定される |
2010年 (平成22年) |
3月 | 文学部心理学科を廃止 |
4月 | (財)大学基準協会より、大学評価(認証評価)の結果、大学基準に適合しているとの認定を受ける | |
2011年 (平成23年) |
4月 | 文学部英語英米文学科、国文学科の学生募集停止 文学部総合文芸学科、人間科学部心理学科の収容定員変更 文学部に英語学科、日本語日本文化学科を設置 |
5月 | 神戸松蔭女子学院大学短期大学部を廃止 | |
2012年 (平成24年) |
1月 | 学院創立120周年記念礼拝 |
4月 | 大学第13代学長郡司隆男教授就任(再任) 第16代理事長川崎紘平就任(再任) |
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9月 | 学院創立120周年記念式典 | |
2014年 (平成26年) |
4月 | 第8代院長中村豊主教就任(再任) |
2015年 (平成27年) |
4月 | 認定こども園松蔭おかもと保育園開園 |
2016年 (平成28年) |
4月 | (公財)大学基準協会より、大学評価(認証評価)の結果、大学基準に適合しているとの認定を受ける 大学第14代学長 待田昌二教授就任 第17代理事長 中村豊主教就任 第9代院長 郡司隆男教授就任 |
2017年 (平成29年) |
3月 | 文学部英語英米文学科、国文学科を廃止 |
4月 | 人間科学部に都市生活学科、食物栄養学科を設置 文学部日本語日本文化学科の収容定員変更 人間科学部生活学科(都市生活専攻、食物栄養専攻)の学生募集停止 |
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2019年 (平成31年) |
4月 | 教育学部教育学科を設置 文学部英語学科の収容定員変更 文学部総合文芸学科の学生募集停止 人間科学部子ども発達学科の学生募集停止 |
2020年 (令和2年) |
4月 | 大学第15代学長 待田昌二教授就任(再任) 第18代理事長 中村豊主教就任(再任) 第10代院長 郡司隆男教授就任(再任) |
2021年 (令和3年) |
4月 | 大学院文学研究科言語科学専攻(博士課程)の学生募集停止 |
2022年 (令和4年) |
1月 | 学院創立130周年記念礼拝 |