卒業生、修了生の皆さんへ

2020.03.20

皆さん、ご卒業おめでとうございます。教職員を代表して心からお祝いを申し上げます。

皆さんが学生生活を終えてそれぞれの道を歩まれるにあたり、同じ学科で学んだ者同士が別れを惜しむ機会をせめて持ちたい、このキャンパスで直接お会いして私たちからはなむけの言葉を贈りたいと切に願っていました。学位授与式を行うことができず、このような形でメッセージをお伝えすることは本当に残念であり、申し訳なく思います。

今の時代、直接会うことがなくても様々な情報をやり取りできるようになりました。学校の学びも、ネットでの動画配信やSNSなどでのメッセージによるいわゆるオンライン授業によって行うことができなくはありません。今回の感染症対策としての全国的な休校措置により、そのような学びを進めていく動きが強まることでしょう。

しかしながら、実際に対面してのやり取りには、動画では伝わらない多くの情報が含まれています。そこには、微妙な気持ちの変化を感じ取り、感情を伝えあうことも含まれています。人と人の出会いは、時には葛藤や苦しみをもたらすこともありますが、安心や喜びといった人生にとって不可欠の感情をもたらします。

そして私たちは同じキャンパスにいることによって、周囲にいる人たちの姿や話し声、建物や木々、六甲山麓の空気、六甲山や神戸の街と海の風景などを共有しています。
私たちの記憶は、感情や場所と結びついています。感情や場所に彩られることのない出来事は記憶にあまり残りません。長い時間をかけてキャンパスまで通った方も少なくないと思いますが、神戸松蔭のキャンパスまで来てともに学び、様々な経験をして、感情と場所を共有することはとても大切で意味のあることだったと思います。

私たち教職員にとっても、皆さんにとってかけがえのない時期を過ごす場としてこのキャンパスを選んでもらえたことは本当に嬉しいことでしたし、ともに過ごした日々は忘れがたい大事な記憶です。

本学では卒業生・修了生の皆さんに大学に帰ってきていただく日として、毎年秋にホームカミングデーを設けています。可能であれば、2019年度卒業生・修了生の皆さん向けの特別な行事を企画したいと考えています。本学の同窓会である千と勢会の案内や本学公式サイトからの情報を見ていただければと思います。

もちろんそういった機会でなくとも、いつでもぜひ大学を訪れてください。チャペルを中心とした心を落ち着かせることのできる雰囲気をこれからも大切にしていきます。

このキャンパスで皆さんと再会し、ともに過ごした日々について語り合う時が来ることを、教職員一同楽しみにしています。

2020年3月20日
神戸松蔭女子学院大学・大学院
学長  待田 昌二

閉じる