新入生の皆さんへ

2020.04.01

皆さん入学おめでとうございます。神戸松蔭女子学院大学の教職員を代表して、心よりお祝い申し上げます。

神戸松蔭女子学院大学の歴史は、今から128年前の明治時代中頃に、イギリス人宣教師がキリスト教伝道を目的として神戸に設立した松蔭女学校にさかのぼります。それ以来の長い歴史の中で中学・高等学校になり、次いで短大や四年制大学も創設しました。現在は学校法人松蔭女子学院が松蔭中学・高等学校と本学を運営するという形になっています。

その松蔭女子学院のモットーは、「一粒のからし種」です。からしの種が一粒ということです。なぜ、からし、なぜ、一粒の種、と思う人も多いでしょう。聖書にあるイエス・キリストの言葉に由来しています。

「神の国を何にたとえようか。どのようなたとえで示そうか。それは、からし種のようなものである。土に蒔くときには、地上のどんな種よりも小さいが、蒔くと、成長してどんな野菜よりも大きくなり、葉の陰に空の鳥が巣を作れるほど大きな枝を張る」(マルコ 4:30-32)

すなわち、小さな種でも、姿かたちを変えながら成長し、やがて鳥が枝に巣を作るほどの木になるという意味です。日本のからしは、木というより草で、鳥が巣を作るほどの大きさには成長しません。イエス・キリストの時代は二千年ほど前ですし、場所は中東地域ですから、別の種類の植物を指していると思われます。いずれにしても、一粒のからし種という言葉は、大きく成長する可能性を持つ小さな種を表しています。

大学モットーは、その小さな種が大きく成長することを期待して"Open Yourself, Open Your Future"としています。Open Yourselfは、自分を解放すること、Open Your Futureは自分の未来を開くことです。すなわち、学生の皆さんが、無意識のうちに自分を閉じ込めてきた殻を破って自分を解放し、心を開いて成長し、卒業後の未来を切り拓いていくことを期待するとともに、私たち教職員が皆さんの成長の手助けをすることを示しています。

これからの学生生活で様々なことにチャレンジしましょう。しかし、皆が皆、気負ってチャレンジする必要はありません。殻の破り方は様々です。大きく弾けて全く新しいキャラになるのもよいでしょうし、すでに殻が薄くなっているところからゆっくり芽を出してもかまいません。試行錯誤しながら、自分自身の未来を切り拓いていきましょう。

現在私たちは、新型コロナウイルス感染症対策として、自らの行動を制限して他者との接触を減らさざるを得ないという状況にあります。残念ながら、ある意味、殻の中に閉じこもっていると言えます。しかし、殻から出て活発に活動する時が必ずやってきます。新しい世界への希望を持ちながら、殻の中で少しずつ成長への準備を始めていきましょう。

2020年4月1日
神戸松蔭女子学院大学・大学院
学長 待田昌二

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