手洗いはどうして大事なの?~管理栄養士と菌の関係~ を考えよう

皆さんは、普段どのくらい丁寧に手を洗いますか?よく「食中毒予防のために手洗いが大切」といわれますが、あまり意識していないかもしれませんね。でも、病院や学校、食品工場などで、多くの人たちに食べ物を提供する管理栄養士にとって、衛生管理は基本中の基本。菌や予防方法のことをきちんと知って、必要な衛生の知識を身につけていきましょう。

山中裕佳子 講師
■研究分野:食品の機能性に関する研究 など
■主な担当科目:食品衛生学 食品学総論 食品機能学

Step1 気づく

私たちの目には見えない菌だけど、一体、どこにいるのかな?
その数はどのくらいなんだろう?


空気中や人の手、髪、机…など、細菌やウイルスはあらゆるところに存在しています。片手だけで、なんと100万個も!もちろん、悪さをしない菌も多いのですが、中には食中毒を起こす菌も。思っている以上に、たくさんの菌がいることを意識してみましょう。


片手だけで100万個も!?そんなにいるなんて…どんな殺菌処理が効果的なの?

先輩VOICE

Step2 考える・調べる

自分の手にも菌がいるのかな。手洗いをすると本当に菌は減るの?実際に調べてみよう!


手形の寒天培地を用いて実験してみましょう。培地に手の平を押しあてた後、一定期間培養します。コロニー(細菌のかたまり)が多いほど、たくさんの菌がいる証拠です。ただ、この実験では菌の種類まではわかりません。食中毒を起こす細菌やウイルスはさまざま。なかには加熱しても死なない菌やアルコール消毒が効かないウイルスも。種類に応じた予防方法を知っておくことが大切です。


松蔭の授業では!

特に乳幼児や高齢者、病気の方にとって、菌の有無は命にも関わる問題です。どの食材を誰に提供するかを具体的に想定しながら、一つひとつの菌の特徴と適切な対処法を丁寧に覚えていきます。

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ウェルシュ菌は、加熱しても死なず“芽胞”という状態になって身を守り、条件がよくなれば復活します。2日目のカレーなどは要注意。ウェルシュ菌は空気を嫌うので、よくかき混ぜて空気を入れながら加熱するのがポイントです。


Step3 発展させる

調理前の手洗いには、消毒効果だけでなく手についた菌を洗い流す効果がある。正しい手洗いで、菌はぐんと減らせる!


菌の多くは口から入ってくるので、調理前の手洗いは基本中の基本!その効果は、手洗いの方法によって大きく異なります。基本は約30秒石けんで洗って十分にすすぐこと。さらに、手袋をはめた上でエタノール消毒をするのがより効果的。正しい手洗いを徹底することで、食中毒や感染症を効果的に防ぐことができます。


Step4 応用する

管理栄養士の仕事は栄養指導だけではありません。人の命に関わる「衛生管理」も大切な仕事。まずは、手洗いを徹底することから始めて衛生への意識を持ちましょう。

特にお年寄りや小さな子ども、病気の方にとって、食中毒は命に関わる大きな問題だということを意識して。マニュアルに則した手洗い方法で菌を落としましょう。

先輩アドバイス

兵庫県立三木高等学校出身
在学生(3年)

身近なところに、こんなにたくさんの菌がいるなんて!? 菌の知識が増えるたび、責任の重さを実感します。

私は、管理栄養士が衛生管理に関する仕事も担っていることを、入学後にはじめて知りました!松蔭は実験や分析などの実習も多いのですが、菌の培養や採取を経験したときには、身近なところにたくさんの菌がいるということがわかって身が引き締まったのを覚えています。洗った手を髪や洋服でぬぐうと菌が増えてしまったり、爪や指の間に菌が残っていたり…。食材をきれいに洗っていても、調理器具や手に菌がついていては意味がないので、手洗いはしっかり丁寧に実践するようにしています。

また、私のアルバイト先では食事をバイキング形式で提供していますが、過去に食中毒があってからは徹底した手洗いマニュアルを取り入れています。いまでは従業員への衛生管理の教育も万全です。管理栄養士だけでなく、まわりの人の意識を変えていくことも大切なんだと学びました。

先生のまとめ

食と栄養のプロ=管理栄養士として、 食事や食べ物を作る人・場所の衛生指導・管理を行えるように。

管理栄養士は、食と栄養のプロ。食事や栄養についてアドバイスをしたり、学校や給食施設などで給食の献立を立てて食事を提供することが仕事です。同時に、食事や食べ物をつくる人・場所の衛生指導・管理をすることも、管理栄養士の大切な役割です。衛生に対する意識をしっかりと持つことは、学校や病院、食品関連施設で働くうえで欠かせません。

また、管理栄養士本人だけではなく、その家族の健康管理も重要です。食中毒や感染症を起こして周りに被害を広げないように、日頃から健康管理について心がけていなければいけません。そのことを意識しながら、普段の手洗いを見直してみましょう。

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