母校や地元チームを
応援したくなるのはどうして?

を考えよう

母校の運動部が全国大会に出た!駅伝で自分の県が優勝した!そんな時、自分が活躍したわけでもないのに、ちょっと誇らしい気持ちになりませんか。それは、一体なぜなのでしょうか。そこにどんな心理が働いているのか、一緒に探ってみましょう。社会の中で生きる「自分の心」を知るきっかけになるかもしれません。

土肥伊都子 教授
■研究分野:ジェンダーに関する自己概念の研究 など
■主な担当科目:社会心理学 ジェンダーの心理学 データ処理法

Step1 気づく

スポーツで母校や地元のチームが活躍したり、オリンピックで日本がメダルを取ると、自分のことみたいに嬉しくなるのはなぜ?


「自分」には個人的な部分だけではなく、社会的な部分があって、自分の属する集団を自分の一部と考えています。それによって、自分が属する集団が優れている=自分が優れているように感じられるのです。普段はあまりスポーツに興味がなくても、オリンピックは観戦する、という経験はありませんか?それは「日本=自分」だと捉えているからかもしれません。


Step2 考える・調べる

仲間意識があると「自分」みたいに感じるの?じゃあ、よく知らない人でも小さな共通点があるだけで気持ちが変わるかも!


仲間を自分の一部のように考えることで、身内をひいきする心理が自然と働きます。じゃんけんでチームをつくっただけでも、自分の所属するチームに対して身内びいきが生まれるという研究結果もあります。仲よくなりたい人がいれば、いろいろと質問をして、小さなことでも共通点を探してみると効果的かもしれません。


確かに、同じ趣味や共通の話題があると、話が盛り上がって気持ちを知りやすくなる!将来、接客業や対人関係に役立ちそう!

先輩VOICE

松蔭の授業では!

「なぜそう感じるのか?」自分の気持ちを深く掘り下げるとともに、たくさんの人と対話を重ねながら、いろんな価値観や考え方を吸収していきます。自分や他人の心を知って、円滑な関係が築ける人へと成長します。

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Step3 発展させる

自分の仲間を応援すること=自分自身を肯定的にとらえようとすること。
つまり、自尊心とも関係がある!?


人には、自尊心を維持しようとする心の動きがあります。自尊心を満たしてくれるから、母校や地元チームの活躍を誇りに思い、応援したくなるのです。それは悪いことではなく、自然なことです。でも反対に、外の集団に対しては不当にあら探ししたり、差別したり…自尊心を守るために、相手を悪く言うこともあります。それを知っておき、気をつけるようにしたいですね。


Step4 応用する

自分や身内をかわいがりすぎて、反対に他人を傷つけたりしていませんか?オリンピックの応援を例に考えてみましょう。

心の動きを知り、自分を理解すれば、他人を尊敬しあえる人間関係をつくれるかもしれません。

先輩アドバイス

兵庫県 東洋大学附属姫路高等学校出身
在学生(4年)

自分のチームを応援するあまり、相手を悪く言っていない?
一緒に楽しめる環境をつくることが大切だと思います。

私は野球が好きでよく応援に行くのですが、ひいきしているチームをよく見せるために、相手のチームをあえて下げて言うサポーターをよく見かけます。自分のチームが勝ってほしい気持ちはもちろんわかりますが、相手を格下のように扱ったり、エラーを大げさに喜ぶのは、少し違うなと感じます。オリンピックでも同じで、私は、応援する側も気持ちよく競いあいたいなと思います。また試合後の評論も、勝ち負けや“ダメだった原因探し”ではなくて、素晴らしかったところにフォーカスしてほしいですね。

人と人は、共通点があると親しみが生まれます。スポーツが好きという共通の話題で、どんな国の人とでも盛り上がれるのがオリンピックではないでしょうか。私は接客のアルバイトをしていますが、いつも会話を重ねて、相手との共通点を見つけるようにしています。そうすると相手が打ち解けてくれて、話が弾むんです。オリンピックを機に海外からの観光客も増えると思うので、共通点を見つけながら一緒に楽しめる環境をつくっていけたら素敵ですね。

先生のまとめ

日本をひいきして、他国に厳しくなりすぎてない?
「試合」と「相手国への感情」は別物だということを忘れないで。

「自分がかわいい」という気持ちは悪いことではありませんし、自尊心も心豊かに生きるために必要です。(自尊心は、ただの自慢や傲慢さとは違います。自分で自分を信じて、大切にしてあげられることなのです。)
ただ、自分かわいさのあまり他人の不幸を喜んでしまっては、良好な人間関係は築けません。たとえばオリンピックでは、選手は他国の選手と戦い、観客は自国を応援します。でも、それはあくまでオリピックという場の中だけでのこと。閉会式で選手たちが国の枠を越えてお互いの健闘をたたえ、一緒に楽しむように、競技が終わったあとにまで「自国or他国」の枠組みを引きずらないようにしたいものです。

自分の心理や行動を第三者の視点で見つめられるようになると、人間関係にもきっと役立つと思います。

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